IC/BPSは珍しい病気ですよね?
診断された症例の数を考えると、確かにそのように見えます。
推定方法にもよりますが、成人の2~5%程度の人が罹患している可能性があります。しかし、この病気の診断率は非常に低く、医療が発達している国でも10%以下です。ほとんどの国では1~5%程度です。)
診断率の低さにはいくつかの要因があります。IC/BPSという病気自体がほとんどの人に知られておらず、医師や婦人科医、泌尿器科医の中にも聞いたことがない人がいる(!)。また、IC/BPSに罹患している人の多くは、自分の症状を正直に話す勇気がないため、この病気の周知を大きく妨げています。
だからこそ、私たちは社会に知らせることに専念しています。IC/BPSは、多くの人が罹患する深刻な病気です。
あなたに250人の知人がいると仮定すると、その中にIC/BPSを患っている人がいる可能性があります。たとえその人が口にしなくても。
そうかもしれませんが、病気にかかれば医者に診てもらうべきです。IC/BPSも例外ではありませんよね?
IC/BPSの最も典型的な症状は、膀胱(および尿道)の痛みと頻尿です。残念ながら、これらの症状は、悪性腫瘍(がん)や細菌性尿路感染症など、他の疾患が原因である場合もあります。しかし、悪性腫瘍(がん)や細菌性尿路感染症は、通常、尿中の膿などの明確なマーカーを持っています。
IC/BPSは病原体を持たず、腫瘍化もしていないので、同様のマーカーはありません。
したがって、IC/BPSを診断するためには、同じような症状を引き起こす他のすべての疾患を除外する必要があります。
もし診断されたとしても...ほとんどの開業医や婦人科医はこの病気を知らないため、治療もできません。彼らはしばしば誤った診断を下し、結果的に誤った、あるいは不必要な治療を行うことになります。悲しいことに、IC/BPSに関する適切な知識を持っていない泌尿器科医もいます。病気のことは知っていても、それを考慮しない、あるいは考慮したとしても、最新の治療法を知らないので適用しない、ということがよくあります。
適切な診断なしでは、間違いが起こる可能性があります。悪化を伴うことまであるでしょう。
患者は、医者から医者へと移り歩き、誰かに問題の原因と治療法を見つけてもらいたいと願っています。しかし、それは最悪のケースではありません。例えば、婦人科系の問題で、医師が間違った診断をしてしまったために、誤った治療を受けた患者もたくさんいます。患者の中には、何年も何十年も主治医を変えず、効果のない治療、あるいは症状や疾患を悪化させる治療を受ける人もいます。例えば、抗生物質の取り過ぎが一つの事例でしょう。
時には、最も恐ろしいことが起こります。痛みの原因を特定できるものがないため、医師は、痛みは患者の心の中のあるものだと思い込み、心理学者や精神科医のところへ案内してしまうのです。
そうこうしているうちに、症状は進行していきます。重症のIC/BPSの場合、一時間に一回は排尿しなければならない。あるいは一時間に二回、三回と排尿しなければならない。当然、仕事にも支障が出てくる。痛みは私生活にも影響を与えます。夜になると、症状のために悪夢を見るようになり、睡眠不足に陥る。
他に方法がないと判断して自殺してしまった患者もすでにいます。
これらのことから、IC/BPSを迅速に診断し、適切な治療を早期に開始することが重要です。
インターネットで調べてみましたが、膀胱が痛くて何度も排尿しなければならないので、私、IC/BPSにかかっているのだと思います。
はっきり言って、もっと知名度の高い疾患や、症状がはっきりしている病気でも、インターネットの記事を読んで診断することはできません。インターネットを利用した自己診断は絶対にしてはいけません。
先に述べたように、似たような症状を呈する疾患は他にも複数あります。しかし、これらのほとんどは、泌尿器科医が日常的な検査で診断することができるものです。症状が出た場合、すぐに適切な治療を開始することができます。
一方で、「簡単に診断できる」病気が見つかったからといって、IC/BPSが絶対的に否定できるわけではないことも知っておきましょう。症状が本当にIC/BPSを指している可能性もありえます。
しかし、何が問題なのかを見つけることができるのは、あなたではありませんし、このページでさえありません。泌尿器科医に診てもらわなければなりません。泌尿器科医は、あなたを診断するために必要なすべての検査を行うことができ、IC/BPSを肯定することも否定することもできます。
では、IC/BPSは診断できるのでしょうか?
100%の診断法はありませんが、現在では高い精度で診断することができます。
IC/BPSのすべての症状は、膀胱の粘液層(この層はGAG層と呼ばれます)の欠陥によって起こります。GAG層の欠陥は、本質的にGAG層がないことを意味するものではありません。多くの場合、GAG層の欠陥は、特定の領域やパッチでのみ見られ、結果GAG層の透過性が増加します。GAG層の欠陥はすべてIC/BPSであるとは限りませんが、時間の経過とともにIC/BPS(膀胱壁の非細菌性炎症)を発症することがありえます。
一方で、GAG層の変異は診断で特定することができます。GAG層の変異を確認する最新の診断方法として、GAG層完全性試験があります。このテストでは、患者は二日の間、排泄の頻度と量を記録しなければなりません。詳しい情報は【こちら】をご覧ください。
正確な診断のために、主治医は定期的に別の診断方法も適用します。患者の既往歴を調査し、全身状態を把握するためにアンケートを記入してもらい、必要に応じて膀胱鏡検査などといった、他の検査で診断結果を確認します。
かかりつけ医は、私に心理学者のセラピーを進めています。これは理解ができません。私は膀胱に問題があるのであって、心に問題があるわけではありません!
実際のところ、あなたが心理学者のところに送られたとしても、それはかかりつけ医があなたの治療をしたくないと思っていることを意味するものではありません。長い間続いている激しい痛みは精神的なストレスを生むことが多い。IC/BPSもその例外ではありません。精神的な症状は、すべてを悪化させ、自殺願望につながる可能性があります。残念なことに、このような暗い考えが行為に結びついてしまうこともあります。すでに何人かの患者の事例があるように。
心理学者は、病気に対処するための重要な助けとなり、患者の自己評価を向上させることができるため、IC/BSP治療の重要な部分として考えられています。
もちろん、心理学的な治療は、専門の泌尿器科医の治療を補完することはあっても、それに取って代わるものではないことを忘れてはなりません。
私はIC/BPSと診断されましたが、かかりつけ医は膀胱鏡検査、生検、ウロダイナミクス検査(尿水力学的検査)を行いませんでした。
上記で説明したように、IC/BPSの診断は複雑な作業です。基本的には、可能なすべての診断方法を用いるわけではありません。確かに、泌尿器科医は膀胱鏡検査を頻繁に行います。膀胱鏡検査は、ある種のIC/BPSを示唆するいくつかの異常を特定するのに有効な方法です。 現在では、膀胱鏡検査は痛みを伴わない場合の多い、「マイルドな」診断法とななりました。しかし、侵襲的な検査であることに変わりはなく、ごく一部の症例では合併症や副作用が生じる可能性があります。そのため、適切な理由がない限り、お勧めできません。特に、IC/BPSの中には、膀胱鏡検査の画像に特徴がでないものもあります。
膀胱粘膜の生検は、生検画像からは何の関連情報も得られないため、IC/BPSの診断にはもはや含まれなくなりました。一方で、生検によって悪性化の兆候を発見することはできますが、しかし、尿の細胞診検査の方が侵襲性も低く、より効果的な手段であるとが考えられています。
ウロダイナミクス検査は、IC/BPS の診断ができないだけでなく、時間と費用がかかり、かつ侵襲的です。現在では、この目的での使用は推奨されていません。
何がIC/BPSの原因なのかを明らかにして、原因そのものを治療する方が簡単ではないでしょうか?
実際、IC/BPSの研究の大部分は、IC/BPSがなぜ発症するのか、つまりGAG層がなぜ欠損するのかという原因に焦点を当てており、原因療法の確立を目指しています。
いくつかの説が紹介されていますが、今のところ証明されたものはありません。そのため、IC/BPSの真の原因はいまだに解明されておらず、現在の治療法は、GAG層の補充や症状の緩和など、症状の治療に重点を置くものに限られます。
IC/BPSの永久治療はありますか?
残念ながら、IC/BPSを完治させる治療法は存在しません。しかし、効果的な治療を行えば、何年にもわたって症状が出ないこともあります。診断が早ければ早いほど、その可能性は高くなります。
ただし、良い結果を得るためには、患者自身も努力しなければなりません。効果的な治療には、生活習慣の改善、十分な水分摂取、食生活の改善、医師のアドバイスなどがあり、最良の結果を得るためには、これらを遵守する必要があります。
生活習慣の改善だけで十分ですか?
そうであればいいのですが…
しかし、誤解を恐れずに言えば、生活習慣の改善、特に食事や水分の摂取方法は、症状の緩和に大いに役立ちます。初期のIC/BPSであれば、それだけで症状が出なくなることもあります。
残念ながら、ほとんどの場合、治療が始まる頃には、生活習慣の改善だけでは不十分になってしまっています。侵襲性の低い方法で治療を開始し、侵襲性の高い順にステップを踏んでいくという、いくつかの国で使用されているガイドラインがあります。
理論的には、このガイドラインは正しいといえます。一方、実際には、非侵襲的な方法(生活習慣の改善、食事療法、内服薬など)により、効果的な治療までの経過時間が長くなってしまうことがあります。患者のメリットを重視するためには、複合的な治療から始めるのが最も効果的だと思われます。つまり、抗炎症剤、鎮痛剤、GAG層強化剤の内服とGAG層補充剤の注入を同時に行うことです。
ヴィーガン食生活でIC/BPSが治るという記事を読みました。それは本当ですか?
動物性食品を断つことで、IC/BPSが治ったと報告している人はいます。ヴィーガン食生活が健康に良いかどうかを判断するのは私たちの仕事ではありませんが、明確にしておかなければならないことがあります。IC/BPSの症状と動物性食品の摂取との間に相関関係を示した研究はありません。一方で、尿を酸性にする食べ物や飲み物は明らかになっており、(トマトジュースやフルーツジュースなど)は膀胱を刺激し、症状を悪化させることは証明済みです。刺激的な香辛料を使わないなど、気を使って調理すれば、ほとんどの種類の肉は問題なく食べることができます。
薬を飲む必要は?ハーブ製品やお茶の方が効果があるのでは?
市販されているハーブ製品については、効果があるかどうかを判断するのに十分なデータがありません。しかし、ほとんどのハーブティーやハーブエキスには、傷ついた膀胱を刺激する物質が含まれています。そのため、たとえ効果があったとしても膀胱を刺激する物質が含まれているため、かえって害になることがあります。
IC/BPSの治療にはどのような抗生物質が適しているのでしょうか?
抗生物質は細菌感染症の治療に使われるもので、IC/BPSには細菌などの病原体はありませんので、よってIC/BPSの治療に効果的な抗生物質はありません。
泌尿器科医が万が一抗生物質を処方したとしたら、それはあなたが細菌性尿路感染症にかかっているからでしょう。この場合、抗生物質は効果的です。最も効果的なものを選ぶには、(どのような種類の細菌を退治するかを決定するために)細菌の培養を行った上で抗生物質を選ぶべきです。
もし、IC/BPSの患者が、IC/BPS以外の病気や感染症が原因で抗生物質を飲み始める場合は、泌尿器科医にアドバイスを求めてください。ハーブ製品と同様、ほとんどの抗生物質は傷ついた膀胱を刺激するので、要注意が必要です。
IC/BPSに効く鎮痛剤は何ですか?
膀胱の痛みの原因は、粘液の保護膜である膀胱の透過性が高まることから来ています。つまり、痛みが現れるのは、尿の中に刺激物質が混じっているからです。したがって、痛みを和らげる最も効果的な方法は、尿中の刺激性物質の濃度を下げるよう、たくさんの飲み物を飲むことです。また、IC/BPSの厳格な食事療法(尿を酸性にするものの摂取を控える)を行い、尿のアルカリ化を促す必要があります。尿のアルカリ化(アルカリ化錠剤、アルカリ性のミネラルウォーター、レモンジュースなど)を行います。
上記の説明以外では、一般的な鎮痛剤(アドビル、ジクロフェナク、アルゴピリンなど)を投与することができます。
どのようなサプリメントやビタミン剤を摂取すればよいのでしょうか?
一般的に、ビタミン剤は症状を緩和するものではありません。
インターネット上には、誰にでも効く「万能薬」を宣伝するページがたくさんあります。常に注意が必要ですが、禁忌について何も書かれていない場合は特にです。新しい薬やサプリメントを飲み始める前に、かかりつけ医に確認するのが一番良いでしょう。
また、ビタミンBやCを大量に摂取すると、抗生物質やハーブ製品と同様に、症状が悪化する可能性があることも知っておくべきでしょう。
膀胱内注入よりも内服薬の方が良いのでしょうか?
その逆です。局所投与、つまり膀胱に直接薬を注入することで、経口投与に比べて臓器(この場合は膀胱の壁面)に向けられる活性剤の濃度をはるかに高めることができます。また、膀胱内に薬を注入すれば、血液循環に乗らないので、全身的な副作用も起こりません。
つまり、内服よりも膀胱内注入の方が効果的なのです。
でも......膀胱内注入はカテーテルで行うんですよね!?
確かに、長い間、カテーテルを使って膀胱に注入する方法しかありませんでした。しかし、この方法は痛みや不快感を伴い、治療後に感染症を起こすこともしばしばありました。これらの問題を解決するために、カテーテルに代わる泌尿器科用アダプター、UroDapter®が開発されました。UroDapter®については、こちらのページで詳しく紹介しています。
また、患者の自己治療を支援する医療機器として、UroStill®があります。UroStill®を使用すると、外部の助けを借りずに、尿道を通して膀胱に注入することができます。詳細はこちらのページをご覧ください。
Not only has t治療は効果がなかったばかりか、よけいに悪化してしまいました。私は間違った治療を受けたに違いありません。he treatment help, but also it has made everything worse! I must have received the wrong treatment!
ここでいくつかクリアしなければならないことがあります。
まず、長年をかけて発症した症状を、一回や数回の治療でよくすることはできません。
次に、すべての患者に効果ある治療法はありません。とはいえ、通常の治療法では効果が得られない患者の割合は20%あります。この場合、例えば、膀胱鏡検査を行って、膀胱粘膜の局所療法が効かなくなっている損傷部位を確認する必要があります。損傷部位が確認されたら患部の焼灼術が必要になるかもしれません。また、神経系に作用する物質(抗うつ剤、神経性抗炎症剤)、抗アレルギー剤、強力な鎮痛剤などを投与することで、治療を補完することができます。
第三に、膀胱に注入する溶液には、抗炎症剤、麻酔剤、鎮痛剤、GAG層補充剤など、複数の成分が含まれています。稀ですが、これらの成分の一つ、例えばリドカインにアレルギーがある人もいます。しかし、ほとんどの場合、これが痛みの引き金になることはありません。それよりも、薬の濃度が高すぎたり、酸性すぎるなど、症状を悪化させている可能性の方が高いといえます。
最後に、GAG層は複数の物質で構成されており、膀胱注入液(またはカクテル)にはこれらの物質の一つまたはいくつかが含まれている。一般的には、GAG層を補充する成分が多く含まれているカクテルを注入した方が、患者が反応しやすいと言われています。
まるで私たち患者は実験台のようです...
すべての医薬品と医薬部外品は、使用される前に実験や臨床試験が実施されなければならないことを指摘しておかなければならない。IC/BPSのようにあまり知られていない病気の場合、既存の薬で患者の大半が治療に成功しているのは大きな成果です。
もしもかかりつけ医が、投与するカクテルの成分や治療の頻度を変えるとしたら、それは確かに「実験」のように感じられるかもしれません。けれどもこれは、長年の努力と何百人もの患者のフィードバックに基づく医師の判断からきているのです。
この病気をもっているのはまるで私だけ、とても心細く感じます…
今となっては孤立した病気ではなくなりました。
ほとんどの国には IC/BPS 患者協会があります (2019 年以来ハンガリーにも組織があります) 。これらの協会は、IC/BPSで苦しんでいる人々を助けることに専念しており、患者の親戚、医師、そしてこの深刻な状態についてもっと知りたいと思っているすべての人に情報提供を行っています。
これらの協会は互いに協力しあい、お互いに情報交換をし、より多くの知識をもつ関係網の広い組織にガイダンスと指導を求めるなど、活動しています。 これらの協会は、IC/BPS の研究と治療の将来について専門家に相談することさえあります。